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長期記憶と短期記憶をつかさどる海馬は、タツノオトシゴなんだって!

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こんにちは。オリオンです。

勉強に暗記はつきもの。でも覚えるのはすごく大変。どうやったら簡単に覚えられるんだろう、って悩んだことありませんか? 覚えることがいっぱいあると、「あー、もう、こんなにいっぱい覚えられないよー」ってイライラしたり、投げ出したくなったりした経験、だれでも一度くらいありますよね。私もドラえもんの暗記パン、本当に欲しいと思ったりしてました。

そして、記憶の正体って何なの? 脳の仕組みっていったいどうなっているの?
こんな疑問を持ったこともありませんか。

記憶を行なっているのは脳です。これは誰でも知っていますよね。

で、私たちの脳は、誕生した瞬間から膨大な量の情報にさらされています。自分のこと、そして周囲の世界のこと。生きる中で学んだことや体験したことなどあらゆることを記憶の中にとどめているのです。しかし、脳の中を見ることはできないし、記憶自体は形があるものではありませんから、どんな風に記憶しているのかというようなことは、やっぱり分かりにくいんですよね。

 でもね、記憶することは、勉強につきもの。よく言われる思考力や判断力なども基礎知識の記憶がベースです。しっかりした知識のベースがないと、考えることなんてできませんよね。だから今回は、学習の土台となる「記憶」についてまとめていきます。

 記憶をするとどうなる?

記憶=シナプスの形成

さて、質問です。記憶はどこにしまってあるでしょうか?

小学生でも答えられそうな質問ですね。そうです、正解は「脳」です。

では、脳のどこに記憶があるのでしょうか?

記憶をしたかどうかで何か脳には変化があるのでしょうか?

少し難しくなりましたね。脳科学の世界では、記憶とは次のように説明されています。

「記憶の正体は、新たな神経回路(シナプスと言って脳の細胞同士を結んでいる細い線のようなものの集合)の形成」

難しい話ですが、要は、新しいことを覚えると、頭の中に新しい細胞を結ぶ線が出来上がっていくということです。たくさんものを覚えていけばいくほど、この線は増えていくはずですから、どんどん複雑に張り巡らされていきますね。よく頭のいい悪いは、「脳みそのシワ」が多いか少ないか、なんていう話がありますが、あながち間違っている話ではなさそう ですね。

 記憶には種類がある

記憶には大きく分けて「短期記憶」と「長期記憶」という2つがあります。違いは字の通りで、短い期間だけの記憶と、長い期間の記憶ということです。

短期記憶のメリットは、比較的すぐに覚えられるということです。しかし、覚えられる量は少ないという欠点があります。また、すぐに忘れてしまいます。

例えばカップラーメンを作ろうと思って、お湯を入れたのはいいですが、待っている間に誰かと話をしていて、作っていたことをすっかり忘れてしまう。こういった具合のものです。

逆に長期記憶はなかなか記憶に入れることが難しいという欠点がありますが、一度覚えてしまえば、ほぼ忘れることはありません。そして、たくさん 覚えることができます。例えばすごく楽しかった学校の行事や家族と出かけた旅行のことは、いつまでも覚えていて、思い出話ができますね。これは思い出が長期記憶になっているからなのです。 

 短期記憶はなぜ必要?

なんだか長期記憶の方がメリットが大きそうですが、人間には短期記憶が必要です。なぜ、短期記憶が必要なのでしょうか。

もしも短期記憶がなくて、普段見ているものや聞いているものがすべて長期記憶に入ったらどうなると思いますか?

例えば、ここ1ヶ月自分が食べた朝食・昼食・夕食のメニューをすべて覚えていたら・・・。今日、自分が出会ったすべての人の服装を記憶していたら・・・。

毎日ものすごい量の情報が頭の中にどんどん入ってきますから、すぐに頭はパンクしてしまいます。そもそもそんな記憶があっても、使いどころがありませんよね。

つまり、短期記憶があるおかげで余計な情報は忘れることができるのです。そして、本当に必要な情報だけを選んで、長期記憶として残すことができているのです。忘れる、という事も大切な脳の機能なんですね。

 長期記憶をつくるにはどうすればいいか。

ここまで来ると、もう話の流れが分かってくると思いますが、勉強で必要になってくるのは、やっぱり長期記憶です。授業で聞いたときには理解できたけれど、家で宿題をやろうと思ったら、あれ?何だっけ?という経験があると思います。これは、授業で聞いたときは短期記憶には入ったけれども、長期記憶には入っていなかったということになります。ですから、いかに長期記憶にしっかりと入れることができるかどうかが、ポイントになって きます。

しかし、長期記憶は簡単に作ることはできません。脳にインプットされた記憶は、まず短期記憶になるからです。つまり、脳は多くの情報をすぐに「覚える」ことはせず、まず「忘れる」ようにできているのです。

では長期記憶はどうすれば作れるのか。そのために1つのキーワードがありま す 。
それが「海馬」という器官で す。

長期記憶は海馬が作る

「海馬」とは?

 そもそも海馬とはどういう器官なのか、その役割について学んでみましょう。海馬は当然、脳の中にあります。場所としては耳の奥の方でしょうか。
太さ1センチくらい、長さ5センチくらいの小さなバナナのような形をしています。ちなみに海馬とは「タツノオトシゴ」という意味です。この海馬の役割は、長期記憶の門番だと思ってくれればよいでしょう。

長期記憶とはその名の通り長い時間保存できる記憶のことです。忘れにくい強い記憶のことだと思ってください。そして、この海馬に重要だと認められた情報だけが長期記憶になる事が出来るのです。重要かどうかの審査期間は1ヶ月くらいです。審査は非常に厳しくて、よほどのことがない限り1回で合格して長期記憶になることはできません。これはなかなかハードルが高いですねー。 

海馬は「生きていくために必要かどうか」を判断する

では、どんな情報が海馬の審査に通りやすいのでしょうか。そこを知ることができれば、すいすい覚えられて勉強がはかどっていきそうですね。ここが、知りたい情報です。

その注目ポイント、海馬が審査をする基準は以下の通りです。

生きていくために必要かどうか

つまり、大きな怪我をしたり、事故にあいそうな危ない目にあったりした、ということなどがいつまでも記憶にあるのは、そういうことなのです。

なぜ、こんな審査基準になっているのかというと、ヒトは人であるまえに動物だからなのです。そして、動物は生き延びることを最優先します。例えば、カビがはえた食べ物は食べてはいけない。ものが飛んできたらよける。など命にかかわる情報を「重要である」と判断するのです。本来動物が「学習」するということは「生きていくために必要なものを身につける」ということなのですね。だから、危険な状態から逃れるために、どうしたらよいのか?を記憶して、再びそういう状況になったときに、その経験を生かして危険をさける。そのために「記憶」という能力があるのです。

おー、なるほど、分かりました!英単語を覚えないと死んでしまうような状況を作り出せば、すぐに覚えられるんですね。では、屋上の端をユラユラ歩きながら暗記をしよう、とか高速道路の真ん中をフラフラ歩きながら歴史の年号を暗記しようとか、早まってはいけませんよ(笑)

冷静に考えれば、多少英単語が覚えられなくても、歴史の人物を覚えていなくても、すぐに命に影響が出るということはありませんね。
だから、勉強内容が海馬の審査を通ることはとても難しいのです。

 海馬の審査をクリアする方法は?

では海馬の審査を通過して、短期記憶を長期記憶に変えるには」どうすればよいのでしょうか。その方法は、海馬を「だます」ことです。英単語が、生きるのに必要な重要情報であると、脳に誤解させちゃえばいいのです。

どうやって海馬を「だます」のか?その方法は1つしかありません。
できるだけ情熱を込めて、繰り返し同じ情報を送り続けるのです。

すると海馬は「そんなに何度も何度もくるのなら、必要な情報かもしれない」と勘違いをして、ついには忘れにくい記憶(忘れにくい記憶(長期記憶長期記憶))への扉を開くのです。

つまり重要で覚えたい事柄に関しては、もう一度覚えさせようと繰り返し脳に情報を送り続けるしかないのです。「俺は1回読めば覚えちゃうよ」なんて特殊能力を持っている人もいるのかもしれませんが、多くの普通の人間は「1度では覚えられない」ということを認識することが、記憶の達人への第1歩なのです。

「ゲームのセーブのように、1回で何とかできないものか」と思う人もいるでしょうが、答えはNOです。どうしても1回で何とかしたいのであれば、答えられないと命にかかわる危険な状況に身をおきながら、英単語や歴史の人物を覚えていくしかありません。これでは命がいくつあっても足りないですね。だから、回数を重ねて、何度も復習を行って、海馬をだますしかないのです。

よく何かを覚えてもすぐ忘れてしまうと悩む人がいますが、これは仕方が無いことです。むしろ短期的な記憶で済む情報を何から何まで覚えていると日々の生活がとても大変なことになりますので、生きることと密接でない情報を忘れるのも重要な脳の機能であるわけです。

海馬をだます実験

では、海馬をだますにしても、何か効率の良い方法はあるのでしょうか。
そのことを調べるために、ここで少し実験をしてみましょう。次の単語をがんばって覚えてみてください。

(いるめ)(くとし)(かでさ)(たとは)(すとえ)
(いるめ)(くとし)(かでさ)(たとは)(すとえ)
(おえね)(むたら)(かふわ)(けんよ)(みまそ)
(おえね)(むたら)(かふわ)(けんよ)(みまそ)

なかなか難しいですよね。こんな意味のない文字列、覚えられないよーって思いますよね。そうです。それで普通です。

意味が無い文字であることは分かりますが、必死に覚えてください。後で単語を思い出すテストをします。暗記をするときに、注意してほしいことは、語呂合わせなどを使わずに「丸暗記」をすることです。

いいですね?覚えましたか?覚えましたね?
覚えたら、続きを読んでください。

エビングハウス

実はこれは、「覚えるテスト」」ではなく、「忘却(忘れる)」テストです。
この実験をドイツの心理学者エビングハウスが百年以上も前に行いましたが、いわゆる「記憶力のいい人」と「記憶力の悪い人」の間では、単語を忘れる早さは変わらなかったといいます。個人差はほぼ無かったのです。意識ではコントロールできません。
平均的な成績では先ほどの単語を100個全部覚えた状態から、24時間後には5個しか覚えておらず、2日たった48時間後では2個程度だそうです。


さて、それほど時間はたっていませんが、皆さんは今現在で、先ほどの単語を、いくつ覚えていますか。全部覚えていたら、特殊能力の持ち主です。おめでとうございます。でも、普通の人は、半分以上覚えていませんよね。忘れる前に、そもそも覚えることすら困難かもしれません。いいのです。それで普通なのです。

記憶の干渉

ちなみに、忘れることをもっと早める方法があります。それは情報を追加することです。先ほどと同じような文字列をさらに20個ほど追加で覚えようとすると、4時間で2個、24時間で1個しか覚えておらず、48時間ではほぼ忘れてしまうという結果があります。古い記憶と新しい記憶とが混ざってしまい、どんどん忘れてしまうのですね。この古い記憶と新しい記憶とが混ざってしまい、悪い(忘れるという)影響を与えることを「記憶の干渉」と呼びます。

意味記憶

今回のテストで出てきたたくさんの言葉に意味は無く、関連性もありませんでした。こういった記憶を一気に詰め込もうとしても記憶が混乱したりあいまいになったりしてしまうのですね。
逆に言えば、情報は意味があるものの方が記憶しやすいということなのです。つまり、 出来るだけ丸暗記をせずに、意味を考えて覚えれば、覚えやすくなるのです。だから、勉強では、しっかりと理解して覚えていくという事が大切になってきます。歴史であれば、出来事の流れや背景、なぜその出来事が起こったのかなどの因果関係を理解するようにすると、単に年号を丸暗記するよりも頭に入りやすくなります。これが「意味記憶」です。

マジックナンバー7

また、たくさんの言葉を覚えるのは大変でしたね。そもそも短期記憶にも容量があり、覚える個数が多いと記憶しづらいのです。「マジックナンバー7」と言われますが、数字なら7桁までがその容量であると言われます。電話番号がギリギリその桁数です。

だから、一度にたくさん覚えようとするのではなく、少ない量に分けて覚えることが効果的なのです。100個の単語を一度に覚えるよりも、10個ずつ10回に分けて覚えていく方が効率が良いのです。そして、「忘れるのは当たり前」という前提を忘れずに、忘れた分を「復習」することが重要になのです。 

まとめ

よく、「勉強のしかたが分からない」という話を聞きます。もちろんどれだけ勉強をしたかという時間や量は大切ですが、同じ勉強をするにしても、脳の性質に沿ったやりかたか、脳の性質に逆らったやり方かによって、効果は変わってくるということになります。脳の性質を理解をして正しい勉強法を身につけましょう。


今回は、長期記憶と短期記憶、そして「海馬」についてまとめてきました。
最後にポイントを箇条書きで整理しておきます。


 〇長期記憶は海馬にしまわれている。
 〇ある情報を長期記憶にするかどうかは海馬が判断している。多くが却下される。
 〇生きていくために必要かどうかで判断している(生命に関わる情報)
 〇暗記を繰り返すと海馬は必要な海馬は必要な情報だと認識して長期記憶になる

つまり、「暗記を繰り返す=長期記憶になる=学力が高まる」ということなのですね。
効率よく学習をするためには、この関連性をしっかり理解しておくことが大切です。