こんにちは。ORIONです。
2019年3月28日(金)に文部科学省が、2019年度枠のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定校の内定を公表しました。今、注目を集めるSSHの指定。神奈川県下では合計6校となりました。科学技術系の人材育成に力を入れるSSH指定校ですが、「実際はどんな取り組みをしているの?」ということはあまり知られていないのかもしれません。生徒や保護者からも「具体的に何がいいんですか?」ということもよく聞かれます。そこで今回は、神奈川のSSH指定校の紹介をしながら、SSHの魅力についてもまとめていきたいと思います。
SSHは理数教育の最先端だ!
今回、全国からの応募は58校。このうち指定を受けたのは32校です。応募数の半数より少し多い数ですね。指定期間は5年間。そして、文部科学省からSSHの指定を受けた学校は、科学技術系の人材育成のために独自のカリキュラムによる授業や、大学・研究機関などとの連携、地域の特色を生かした課題研究などの取り組みを積極的に行っていきます。まさに理数教育の最先端の高校となります。
神奈川県から今回指定を受けたのは、多摩高校と相模原高校の2校です。この2校は神奈川県が「理数教育推進校」に指定している高校であり、SSHの指定取得に対しては神奈川県も後押しをしていました。それぞれの研究開発課題は以下の通りです。
●多摩高校
→SDGSの視点を踏まえた探究活動による科学リテラシーと国際性を育む教育課程の研究
●相模原高校
→科学的探究力と国際性を備えた次世代のリーダーを育成する高大接続プログラムの研究開発
どちらも期待できそうですね。神奈川では、横浜サイエンスフロンティア高校が2015~2019年度、横須賀高校が2016~2020年度、聖光学院が2017年~2021年度、希望が丘高校が2018~2022年度の期間ですでに指定を受けているので、今回の2校で合計6校になりました。
SSH指定を受けると何がいいの?
SSHの指定を受けると、具体的には何がいいのか、どんなメリットがあるのか、気になりますね。
実は、SSH指定を受けた高校には、科学技術振興機構(JST)が活動推進に必要な支援をしてくれるんです。つまり科学技術振興機構(JST)が物品購入や研修・講師の費用などの支払いをしてくれるのです。また、発表会などの企画運営や情報提供も行ってくれるので、SSHの活動が行いやすくなるのです。
SSHの具体的な取り組みは?
SSHは科学技術系の人材育成が目的です。そして文部科学省が後押しをして高度な教育の実践が可能になっています。例えば、以下のような取り組みが行われています。
・大学や研究機関との連携により最先端の研究が体験できる
・実験設備が充実した環境で生徒自身が自分でテーマを設定して、研究ができる
・各生徒が課題研究の成果をプレゼンテーションする発表会が行われる
いずれも将来、科学技術の道に進みたいと考えているのなら、非常に有意義な学びが体験できそうですね。とても魅力的です。
また、毎年夏に「スパーハイスクール生徒研究発表会」が行われているそうです。これは全国から高校生や教員が集まり、取り組みの成果を発表する大イベントです。この発表会を通して、理数系に強い学校としての取り組みを全国に発信し、社会にアピールすることもできます。さらに、2022年度から実施される高校の新学習指導要領では「理数探求基礎」や「理数探求」などが設けられ、さらに理数教育が後押しされていることもSSHには追い風になっています。
さらに、SSH指定校ならではの学校行事が行われる高校も少なくありません。例えば、大学や研究機関との連携授業はもちろんですが、1年に何回も大学に訪問したり、泊りで研究機関での特別授業を受けたり、海外からの研究者を呼んで同時通訳で授業を受けたり、というようなことです。とても高度な学びが期待できますね。関西の高校が東京やつくばの研究施設に訪問したり、宇宙開発の最前線のJAXAに訪問したりと魅力的な行事が行われる高校もあります。
ちなみにSSHの指定校は2002年度の初年度は26校、予算は7億円だったそうです。それが、5年後の2007年には100校を超え、2018年度には200校を越えました。日本全体が、理数教育に力を入れているのですね。そして、その予算はなんと約22億円。スパーサイエンスハイスクールの取り組みが広がり、お金もかけられているのですね。
SSHのデメリットはあるの?
ここまで、SSHのメリットについて主にご紹介してきました。最先端の科学技術に触れられること、科学的な思考を育む機会に恵まれることが大きなポイントでした。では反対にデメリットはあるのでしょうか?
それは、課題研究に多くの時間を取られることにより、他の学習時間が確保しにくいという点です。つまり、SSH指定校は学習指導要領の枠を超えて理数を重視した教育課程の編成を行います。そのため受験科目に沿った教科にまんべんなく時間を割くことが難しいのです。有名私立高校がSSHに参加しない理由の一つはこの点です。大学進学に向けた受験対策が難しくなってくるということなんですね。
この辺りは、各高校の取り組みや進路指導状況を説明会などでしっかりと聞いて、ご家庭ごとにしっかりと判断してほしいと思います。SSH指定校が大学進学実績が悪いということは全くないですし、SSH指定校の生徒は一般の高校に比べると、4年制大学への進学率が高い(男子は約2倍、女子は約3倍)というデータもあります。
まとめ
SSH指定校は、国からの特別予算を受けて次世代の科学技術系人材の育成に力を入れているとても魅力的な高校です。興味関心が理数系にあれば、SSH指定校は有力な選択肢になりますし、今回の多摩高校、相模原高校の指定により神奈川での選択肢が増えたことも朗報と言えます。日本の将来を支える人材が、SSH指定校から育っていくことを期待せずにはいられませんね!