こんにちは。ORIONです。
神奈川県教育委員会が2018年3月に公表した学力検査の結果では、5科目合計で前年度よりも約25点程度下がり、2016年に近い水準となっていました。そして2019年3月に発表された最新の結果では、英数国がさらに難化、社会は例年並みに推移しましたが、理科が大幅に易化した影響で、5科目合計は2018年度からほぼ変化しませんでした。ここ2年は大幅に変化していないとはいえ、油断はできません。5年10年のスパンでは大幅に平均点は下がってきています。つまり難化傾向ですね。今回は科目ごとの分析も行いながら、最新の入試傾向にメスを入れていきます。
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過去6年の合格者平均点
2018年度入試では英語のみ平均点が上昇したものの他の4科目では平均点は減少し、全体としては難化したと言えます。
●過去6年の合格者平均点は以下の通りです。
英語 | 数学 | 国語 | 理科 | 社会 | 5科計 | |
2018年度 | 56.1 | 56.0 | 65.6 | 45.3 | 41.8 | 264.8 |
2017年度 | 51.9 | 63.5 | 73.1 | 46.9 | 54.5 | 289.9 |
2016年度 | 43.0 | 51.7 | 64.7 | 46.5 | 52.0 | 257.9 |
2015年度 | 51.8 | 52.6 | 64.4 | 37.4 | 50.2 | 256.4 |
2014年度 | 59.6 | 51.7 | 60.8 | 38.6 | 49.5 | 260.2 |
2013年度 | 54.8 | 65.5 | 67.8 | 66.4 | 51.1 | 305.6 |
※各教科100点満点
これは神奈川県の教育委員会が発表した全体の数字です。つまり、上位から下位までの全ての高校をまとめた数値です。
注目の2019年度は?
そして、注目の2019年度ですが、英数国がさらに難化、社会は例年並みに推移しましたが、理科が大幅に易化しました。以下の通りです。
2019年度 英語(49.8点)数学(59.1点)国語(50.3点)理科(61.3点)社会(42.5点)
やっぱり、理科の上昇が目立ちますね。約16点の上昇です。英語は全体としては難化しています。しかし、得点分布を分析すると、得点の低下は特に中堅~下位の高校で顕著で、むしろ上位校は安定の90点前後の得点です。つまり、長文の文章量の増加や注釈量の増加など確実に難化しているものの、上位層はそれも意に介さずに得点できる力をつけてきているという事です。つまり、上位の高校を目指すならば、英語の実力アップはポイントになりそうですね。また、反対に数学では上位の高校が得点を下げる傾向がありました。これは、超難問が増えたことを意味します。中堅~下位の高校では、もともと難問が得点できていなかったので、これが超難問になっても得点はあまり変わりません。しかし、上位校で難問を正解できていた生徒は、これがさらに超難問になったことで、得点しにくくなったのです。2019年度は数学を武器にしていた生徒にとっても厳しい入試だったと言えます。
2013年から始まった入試の難化
2013年度の平均点は305点なので、だいたい6割の得点でしょうか。この6年を見ると一番高いので、この表だけを見ると、だんだん難しくなっているんだなあ、というように見えますね。
でも、実はこの2013年は入試難易度が上昇して、平均で7割以上取れていたそれ以前と比べると平均点が大きく下がった年でした。それ以前は、もっと平均点が高かったのです。
そして、50点満点から100点満点に変わったのもこの年です。新しい学習指導要領に対応し、2013(平成25)年度の入試問題は、より思考力・判断力・表現力等を把握できるものへと改良が加えられました。このため各教科の満点もこれまでの50点満点から100点満点になり、実際の出題内容でも、数学の証明問題・説明問題がこれまでの選択や穴埋め問題ではなく完全記述であったり、社会科では80字程度の記述問題が2問出題された、など大きく変化しました。つまり配点を増やすことで、記述問題で中間点を与えるなどを可能にさせたのですね。
理科は2014年度から非常に難化
平均点も66点から38点になりましたが、この年の入試における理科の難化は大きなトピックでした。受験した生徒たちは、理科ができなかったと泣きながら帰ってきて、なだめるのが大変でした。でも、フタを開けると、トップ校でも理科が50点未満の合格者もおり、いかに全体的に数値が上がったのかが顕著に表れていました。その後、現在までその難易度は下がっていません。高い思考力、考える力が要求される問題だと言えます。
マークシートの導入
「採点ミスを防ぐ」ことを目的に2017年度の学力検査から解答用紙にマークシート方式が導入されました。もちろん全てがマークシートになったわけではなく、記述問題はマークシートではありません。単純な計算や選択問題を中心にマークシートになったということです。これにより、数字や語句を書いたり文章で記述する問題の出題数や配点が減り、合格者平均点の上昇につながりました。
2018年度は2017年度からさらに記号選択式の出題が増えましたが、思考力・判断力の測定をマークシートでもしっかりと実現しようと選択肢等の工夫が行われたことで問題の難易度は上昇しました。それは学力検査の合格者平均点の下降にもあらわれています。
とにかく、入試問題はどんどん難しくなっているんだね。
調査書の評定も大切だけれど、入試での得点力がさらに重要になってるんだね。
まとめ
日々の学習を大切に
2013年度入試以降、新しい学習指導要領に沿う形で、思考力・判断力・表現力をはかる入試となったため、学力検査の難易度は上昇しました。そして、その傾向は今も変わりません。おそらく、これからしばらくは変わらないと思います。つまり、行きたい高校に合格するためには、この入試問題に対応する必要があり、そのためには日々の学習が大切ということなんだ。今の入試問題は、入試前に慌てて勉強しても高得点は取れないんですね。
入試問題が難しくなっているのなら、しっかり準備しないといけないのね。
そうだね。調査書の評定は、受験校を決める目安にはなるけれど、合否を決める最重要な項目はやっぱり入試得点なんだね。