こんにちは。ORIONです。
神奈川の公立高校入試が現行の制度になったのは2013年度(平成25年度)入試からです。入試制度も何度か変更があり、今の保護者の皆様の頃とはずいぶん変わってしまいました。制度変更もそうですし、入試問題もずいぶん変わり、難しくなってきているのですね。保護者面談で話していても、あまりの変化にびっくりされる保護者の方も少なくありません。そこで今回は、「新たな学力」を把握するという方向に舵を切った入試制度について見ていきましょう。入試制度の話なので、ちょっと複雑ですが、よろしくお願いします。
現行の入試制度の特徴
まず、現行の制度の特徴は以下の通りです。
①共通選抜では全員が学力検査と面接を受検
②学力検査は英数国理社の5科目(思考力・判断力・表現力を重視)
③調査書は9科目5段階の評定のみを資料とする
④各校の特色に応じて自己表現検査、実技検査、特色検査などを実施
⑤調査書、学力検査、面接、特色検査の比率は各校の選択
調査書の評定のみを資料とするということは、公立高校入試では、「生徒会長してました」とか「部長を頑張りました」みたいな特記事項は全く関係ないんですね。
でも、私立高校の場合は、そういった特記事項も加味される事は覚えておきましょう。
S値とは何か?
合否を決める重要な数値がS値です。S値は調査書=A(135点満点)、学力検査=B(500点満点)、面接=C(100点満点)をそれぞれ100点満点に換算し、各校の定めた比率をかけて1000点満点にして計算します。特色検査実施校ではここに特色検査の特点に各校比率をかけたものを合計して、最大1500点満点になるように設定します。
●調査書A=(中2の9科目合計45点)+(中3の9科目合計45点)×2=135点
●学力検査B=英数国理社の5科目各100点×5=500点
●面接C=100点満点
●特色検査D=100点満点 (実施校のみ)
上記のA〜Dの数値を計算式にあてはめて、S値を算出します。そして、このS値を用いて選考を行います。
1次選考
神奈川の公立高校入試では、まずS1順に受験者を並べ、1次専攻として募集人員の90%にあたる人数を合格とします。
S1値=( 調査書A÷1.35×f )+( 学力検査B÷5.0×g )+( 面接C÷1.0×h )
※ f, g, h は各高校が独自に設定したf(内申点)、g(学力検査得点)、h(面接点)の比率
●特色検査実施校
S1値=(調査書 A÷1.35×f )+( 学力検査B÷5.0×g )+( 面接C÷1.0×h )+( 特色検査D÷1.0×i )
※D値=特色検査 特色検査実施校は最大1500点満点になるようにf〜iを設定
2次選考
次に募集人員の残り10%にあたる人数をS2順に2次選考で合格とします。
S2値=(学力検査B÷5.0×g )+( 面接C÷1.0×h )
●特色検査実施校
S2値=(学力検査B÷5.0×g )+( 面接C÷1.0×h )+( 特色検査D÷1.0×i )
1次選考、2次選考と言ってもそれはあくまで高校側が行なっている選考の手順の話です。受験生にとっては、受験は1度だけ(筆記試験も面接も1度だけ)であり、自分が1次選考で合格したとか、2次選考で合格したとかは知らされないんだね。
ポイント
つまり、2次選考では調査書の評定は関係ないんですね。
2次選考は、もともとは県外からの転居者など調査書が不備な生徒のための枠なのです。
でも、面接は差がつきにくく、結局は学力検査の結果で合否が決まるので、調査書の数値が全然足りなくても、入試で高得点をとれば逆転合格するようなケースはこの2次選考の枠で生まれるのです。
S値の算出比率について
各校の比率
S値を算出する比率は各校が選択できます。現状は多くの高校が、以下の3つの比率を選択しています。
●学力検査重視型→調査書:学力検査:面接=3:5:2
●バランス型→調査書:学力検査:面接=4:4:2
●調査書重視型→調査書:学力検査:面接=5:3:2
このうち、上位の学校は学力検査重視型を選ぶ傾向にあります。また、4:4:2のバランス型はクリエイティブスクールを除く全日制学科・コースの196の募集のうちの104の学科コースが採用しており、もっともメジャーな比率です。
特色検査実施校の比率
●【 f(内申):g(学力検査):h(面接):i(特色検査得)】=【3:5:2:2】
柏陽、横浜緑ヶ丘、横浜サイエンスフロンティア、厚木
●【 f(内申):g(学力検査):h(面接):i(特色検査得)】=【3:5:2:1】
湘南、希望が丘、横須賀、平塚江南
※希望が丘高校は特色検査比率2⇒1へ
●【 f(内申):g(学力検査):h(面接):i(特色検査得)】=【2:6:2:2】
横浜翠嵐
横浜翠嵐はものすごい学力検査重視ですね。
横浜国際バカロレアコース(仮称)は筆記型自己表現検査も実施
かつての外語短大付属高校は、現在は横浜国際高校になっています。でした。その横浜国際で2019年度から開設される横浜国際バカロレアコース(仮称)では英問英答の実技試験のほか筆記型の自己表現型の特色検査も実施されます。
●横浜国際 国際科本体
【 f(内申):g(学力検査):h(面接):i(特色検査得)】=4:4:2:3
※特色検査 実技 (英問英答)
●横浜国際 国際科バカロレアコース(仮称)
【 f(内申):g(学力検査):h(面接):i(特色検査得)】=【4:4:2:2:2】
※特色検査 実技(英問英答)と自己表現(筆記型)
その他のトピック
特色検査が共通問題に!
平成30年度まで特色検査の問題は各校で作成されていましたが、平成31年度からは横浜緑ヶ丘を除く7校で共通選択問題による特色検査が実施されます。(横浜緑ヶ丘は平成32年度より実施)
緑ヶ丘の問題はちょっと特殊ですから、どうなっていくのかは注目ですね。
また、平成32年度入学者選抜より新たな学力向上進学重点校エントリー校として指定された川和・茅ヶ崎北陵・相模原・多摩・横浜平沼・鎌倉・大和・光陵・小田原高校でも共通選択問題による特色検査が実施されることが神奈川県教育委員会から発表されました。
鎌倉高校や平沼高校などの人気校でも特色検査が実施されることは大きなトピックですね。
長くなったので、今回はここまでにします。その他情報も少しずつ掲出する予定ですので、よろしくお願いします。
また、私立高校については下のリンク先に記事をまとめていますので参照してください。