効果的な勉強方法はあるか?
テストで覚えなければならない事があった場合、皆さんはどのように覚えていますか?ひたすら書いて覚える、カードを作って繰り返しチェックする、など色々なやり方がありますよね。でも暗記ばかりの勉強はとても面倒だと思いませんか?
少なくとも、私は暗記ばかりの勉強は、すごく苦手です。なかなか覚えられなかったり、覚えることがたくさんあるとうんざりしてしまします。
そこで今回は、効率よく知識を身に付ける効果的な勉強方法について考えてみましょう。
ある実験
まず、ある実験について紹介します。どんな実験かというと、スワヒリ語の単語を40個覚えるというものです。「なんでスワヒリ語なんだー?」って突っ込みはやめてくださいね。なぜなら、この実験は、スワヒリ語を初めて見る、初めて読むという人たちについて行うことに意味があるのです。まあ、スワヒリ語が話せちゃう人は少ないと思うので、要するに意味の分からない単語を機械的に暗記するという事ですね。
さて、実験では10人ずつ4つのグループに分かれて、それぞれ違う学習方法をしてみました。実験の流れは次の通りです。
① どのグループも40個を一通り学習
② 40問テストをする→全員満点ではありませんでした。
③ グループごとに、次の方法で学習する。
グループ1
「すべての単語」を暗記し直し、「すべての単語」を自分でテスト
グループ2
「間違えた単語だけ」を暗記し直し、「すべての単語」を自分でテスト
グループ3
「間違えた単語だけ」を暗記し直し、「間違えた単語だけ」を自分でテスト
④ 再テストを実施→全員満点を取りました。
再テストの結果を見ると、全員満点。これなら、どの学習方法でもよさそうな感じですよね。もちろん再テストまでの時間は同じですので、満点を取るまでにかかる時間も同じでした。
となると、効率のよさそうなのは間違えた単語に絞ったグループ3でしょうか。自分の間違えたところだけを繰り返しているから効率的ですね。
しかし、この実験には続きがあるのです。
この3グループの人たちには実施することを内緒にしておいて、1週間後にもう一度抜き打ちテストをしてみました。さて、その結果はどうだったのでしょうか?
大きな差が生まれた
結果は、以下の通り。
グループ1→平均80%の正解率
グループ2→平均80%の正解率
グループ3→平均35%の正解率
大きな差が出る結果になりました。それぞれ良かったグループとそうでないグループは何が違ったのでしょうか。
グループ1と2に共通しているのは、自分でテストをしているのが「すべての単語」であるということです。つまり、暗記のし直しの仕方は違うけれど、全部の単語を書いてみるという作業があったということになります。逆に、グループ3は間違えた一部の単語しか書いていないということになります。
全部書いてみたほうが良い。これが、脳の本質です。
面倒だから、間違えたやつだけ確認しておこう、というやり方は、実はダメなんだね。
長期記憶としてしっかり定着させるためには、一度できたものについてもテストを繰り返す方がいいという事なのね。
脳にとって大事なこと
脳には「入力」と「出力」があります。単語を頭に叩き込んで「覚える」ということは「入力」になりますね。「自分でテスト」してみるということは実際に書いてみるということですから、「出力」になります。
そして、暗記をする際に効果的な勉強方法は、「間違えたものだけを テスト」して覚え られているか確かめるやり方よりも「全てテスト」したほうが記憶としてしっかり定着する という ことなのです。つまり、この実験結果から分かることは、脳にとっては「出力の方法」が大事 だということです。
もちろん、「入力」できていないものは「出力」できませんから、 入力 ももちろん大事です。気をつけなければいけないのは暗記をするという行為はじっと教科書を見て覚えるのではなく、覚えられたかテストを自分でしていく中で、だんだんと記憶に定着していくものだということです。そして一夜漬けのようにして覚えた記憶は学力ではなく、長い期間保っていられる記憶こそが学力であるということです。
この長い間保って いられる記憶を長期記憶と呼びますが、「 海馬 」という脳の器官の役割が大きく関わっています。
海馬の役割
海馬の役割を箇条書きで整理してみましょう。
〇長期記憶は海馬にしまわれている。
〇ある情報を長期記憶にするかどうかは海馬が判断している。多くが却下される。
〇生きていくために必要かどうかで判断している(生命に関わる情報)
〇何度も暗記を繰り返すと海馬は必要な情報だと認識して長期記憶になる
そして、海馬は「この情報はこんなに使う回数が多いからやっぱり重要だ」と判断をしますので、「丸暗記」や「詰め込み型」の勉強では不十分で、「実際にやってみる」という「知識活用型」の勉強のほうが遠回りのように見えて、近道であるということです。
まとめ
インプットとアウトプットのバランスは、「6:4」が理想的です。問題を解く、テストをする、などアウトプットすることの割合を多くすることを意識して、学習内容を考えましょう。暗記のための暗記ではなく、使いながら覚えるという感じでしょうか。何より、丸暗記は苦痛でしかないですよね。使える知識になるように、アウトプット学習を行うようにしましょう。