こんにちは。ORIONです。
入試シーズンですね。実力が同じなら、合否はどこで別れるのでしょうか。試験当日に持てる実力を余すところなく発揮するために必要なメンタルを備えているのか。つまり、気持ちの部分です。スポーツでもそうですが、最後はやはりメンタルです。
ここぞという時に力が出せない」「普段はできているのに緊張して失敗してしまった」そんな経験はありませんか。反対に「チャンスに強い」「いざという時に必ず決めてくれる」という頼れる人も周りにいませんか。同じ能力を持っていてもその力を本番で発揮できるのか、できないのか、その違いはメンタルです。
今回はそのメンタルを強化するトレーニングについてまとめます。
メンタルトレーニングとは
本番に弱い人の共通項
受験や入試の本番で、「緊張して頭が真っ白になった」という話はよく聞きます。普段は解けているレベルの問題でも、焦ってしまいミスをしてしまったというのもよくある話です。こういった本番に弱いタイプの人は、「ミスをしてはいけない、失敗してはいけない」という思いが強い傾向にあります。この思いが強すぎると緊張が高まり、ドキドキしたり、焦ったりすることで本来の実力が出せなくなっていきます。「合格したい」という思いが強ければ強いほどこのような傾向に陥りやすくなりやすいとも言えます。
失敗したくない、という気持ちをコントロールする
だから誰もが持っている「合格したい」「失敗したくない」という気持ちをうまくコントロールして、十分に実力を発揮するための気持ちのコントロールが必要です。それがメンタルトレーニングなのです。「なんだよ、精神論かよ」で片付けないでください。メンタルトレーニングは1950年代から研究されはじめ、オリンピック選手や大リーグなどの野球選手、NBAなどのバスケットボール選手やサッカー選手など世界の一流と言われるスポーツ選手はほとんど実践しています。自分の思いだけでなく多くの人の期待を背負って戦うプロスポーツ選手は、高い緊張感のなかで能力を発揮しなくてはなりません。そのためにはメンタルトレーニングは必須なのですね!
ポイント①「ゾーン」とは
ゾーン=理想的な心理状態
気持ちが緊張とリラックスの中間の状態にあることを「ゾーン」と言います。自分の持つ力を最大限に発揮できる理想的な心理状態です。スポーツ心理学の発達によってこの現象が少しずつ解明されてきていて、今では、ゾーン状態、フロー状態に入るための方法というのも、かなり明らかにされているのです。それをきちんと理解すれば、私たちの仕事や勉強などにも大いに活用することができます。受験などここぞ、という時に力が発揮できるようになるのですね。
ゾーンに入るには
では、私たちがゾーン状態に入るためには、どうすればよいのでしょうか?
マンガでは神通力じみたものとして描かれる「ゾーン」状態ですが、実際に極度の集中状態に入っているアスリートを調査したところ、ある共通点が見つかったそうです。それが、まず極度の緊張状態に入ること、そしてその次に、呼吸法などを使い脳を一気にリラックスさせ、目の前の問題に集中し「よし、やるぞ!」と意識を切り替えること。一見トレードオフにも思えるこれらのことを一気に行うことで、セロトニンやドーパミンといった種々の快楽物質が分泌されてリラックス状態になった脳は、極度の集中力と、非常に高いパフォーマンスを発揮するのです。
また、次に説明する「ルーティーン」は、そのプロセスのなかで重要な役割を果たします。単なるパフォーマンスなどではなく、実力の発揮に欠かせない重要な手続きなのです。
ポイント②「ルーティン」
スポーツ選手の「ルーティン」
本番でのパニックを克服する一つ目のポイントは「ルーティン」です。野球のイチロー選手がバッターボックスに入った際に、袖を引っ張りながら、バットの先端を投手側バックスクリーン方向へ向けるしぐさを見たことありますよね。このように決められた一連の動作を行うことが「ルーティン」です。
また、ラグビーの五郎丸選手がキックの前にするお祈りのような「五郎丸ポーズ」は有名ですよね。見た目に印象から、お祈りやゲン担ぎのように受け取る人もいるかもしれませんが、そうではありません。これも「ルーティン」なのです。
では、「ルーティン」とは一体何なのかというと、正式には「プレ・パフォーマンス・ルーティン」といいます。ある特定のパフォーマンスの前(=プレ)に、一連の確立された動作を遂行することによって、それに続くパフォーマンスを安定・向上させることができる、というスポーツ心理学の理論に基づいたものです。
「ルーティン」の効果
「ルーティン」にはいくつかの効果があリますが、例えば、一連の動作に集中することで、「外的(スタジアムの大歓声や相手チームの動き)および内的(不安や心配)な障害を取り除くことができる」ということが挙げられます。実はイチロー選手はネクストバッターズサイクルにいる時から十数個の「ルーティン」を行っていると言われます。それらの動作に入っ瞬間から、周囲の音は何も聞こえないし、ドキドキもしない。ルーティンそのものに集中し、その結果としていわゆる「無の状態(ゾーン)」に入ることができるのです。
受験生ができるルーティン
ルーティンが有効なのは、何もアスリートに限った話ではありません。「この動作をしたら自分は集中モードに入るんだ!」と決めて、勉強をする前に毎回何かをするように決めてみましょう。例えば、机を整理して机の一定の場所に腕時計を外して置き、その秒針をじっと見る、といった具合です。本番に入る時の動作を決めておき、毎回同じ動作を行うことで、心を安定させ、集中を高めるのです。これを繰り返していくと、ルーティンが脳内で刷り込まれていくため、ルーティン効果が高まっていきます。
テストの前に、集中するための「合図」や「手順」を決めるんだ。どんなのがいいかなあ。
シャーペンと消しゴムを机に置いて、それを見ながらゆっくりと深呼吸をする、とかでいいのよね。
そうだね。普段の勉強からそれをやることがルーティンになるんだよ。
ポイント③パニックにならないために
強いメンタルとは
解けない問題や難しい問題を見て「どうしよう、わからない」という状況、時間が足りなくなってきてドキドキして焦って頭が真っ白になるなど受験本番では様々なパニックが想定されます。その状況を打破するには「強いメンタル」が必要ですが、では「強いメンタル」とはどのようなことなのでしょうか。
「強いメンタル」とは一言でいうと「自分を理解している」ということです。どういう状態のときに自分は力を発揮できるのか、逆にどういう状態になってしまうと自分はダメなのか。そしてダメになったときにどうすれば立て直すことができるのか。メンタルが強いというのは、それが自分で分かっている状態です。だから、自分が陥りそうなパニックを想定して、「準備」をきちんとしておくということが大切です。
本番を想定した準備
「問題の解き方がわからない」という場面は本番に限ったことではなく、普段の勉強の中でもいくらでもあるはずです。だったら、そこでうまく立て直すための練習をすればいいわけです。受験や入試については、その準備はとてもしやすいですよね。普段勉強している時に、本番で起こりそうなパニックを想定して勉強すればいいだけなのですから。
つまり「やばい、時間が足りない!あと5分しかない。どうしよう。」みたいな状況を想定しながら問題を解けばいいのです。普段の勉強を「本番のための練習」として行うということです。
これは、「常に試合の場面を意識した練習をするする」「練習のための練習をしない」というトップアスリートの練習方法にも通じています。
深呼吸の有効性
また「あ、いまパニックかも」と気づいたら一度手を止めて深呼吸をしてみるというのはとても有効ですし、「ちょっと他の問題に移ろう」というのもアリです。緊張したり、プレッシャーを受けている状態では、無意識に呼吸は浅く早くなっています。呼吸が早くなると焦りがちになり、ミスが出る原因にもなります。このような時に深呼吸などの呼吸法は、緊張を沈めてリラックスするためにとても有効なのです。もちろんパニックになった時だけではなく、テストの前にしっかりと呼吸を整えることをルーティンに取り入れるのも良いと思います。
正しい深呼吸とは。「吸って、吐いて」はダメ!
まず、姿勢。背筋を伸ばし、軽く胸を張るような感覚で、少し顎を引くようにしましょう。では深呼吸をしてみてください。まずスーッと大きく息を吸い込みませんでしたか。それは間違いです。息が乱れた状態で大きく息を吸い込むと、過呼吸になってしまうこともあります。とくに緊張状態にあるときは要注意です。深呼吸をするときは、まず息を吐くことから始めます。口をすぼめるようにして、ゆっくりと空気を吐き出していきます。次に、胸よりは胃を広げるような気持ちで、鼻からゆっくりと息を吸い込みます。鼻から息を吸うのは、吸い込む量を一定にしてリズムを保つためです「口から吐き、鼻から吸う」という動作を意識して、2~3回ゆっくりと深呼吸をしてみてください。浅くなっていた呼吸が深呼吸によってゆったりしたものに変わると、緊張やプレッシャーが徐々に解けていくのを実感できるはずです。
口から吐き、鼻から吸うんだね。ゆっくり行うと、心が落ち着いてきます。息を吐く時に、自分の心の中のプレッシャーや弱い気持ちを吐き出すようなイメージをつくるようにしてもいいよね。
まとめ
本番で力を発揮するメンタルトレーニングとしてのルーティンやゾーン、呼吸法についての話題でした。いかがだったでしょうか。
メンタルトトレーニングでメンタルを鍛えると、緊張した場面でもいつも通りの力が発揮できるようになります。もちろん、あくまでも「いつも通り」であって、いつも以上の力が出るわけではありませんが、自分の実力を十分に発揮して、それでもダメだったのなら、仕方ないと言えるかもしれません。
でも、一生懸命に勉強してきたのに、本番で力が発揮できずに残念な結果になることは一番悔しいですよね。だから今回の記事が、頑張る皆さんの参考になればと思います。